
鏡餅は「飾るだけのお正月アイテム」ではありません。
“歳神さまを迎え入れ、1年の健康と豊作を願う”という意味を持つ、最も重要な正月飾りのひとつです。しかし実際には、
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「どこに飾るのが正解なの?」
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「いつから飾る?29日と31日がダメって本当?」
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「マンションでも飾っていい場所は?」
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「鏡開きってどうやるの?食べ方は?」
など、迷うポイントが非常に多い伝統行事でもあります。
本記事では 鏡餅の飾り方・意味・飾る期間・処分方法・注意点 を、はじめての人でも迷わないレベルまで徹底的に解説します。
2025年以降も使える“永久保存版”として作成しているので、ブログ読者にも大きな価値を届けられます。
鏡餅とは?意味と由来
鏡餅はお正月の象徴として親しまれていますが、その本当の意味は意外と知られていません。単なる“餅の置物”ではなく、新年の神様である歳神様(としがみさま)を家に迎え入れるための神聖な依り代とされています。歳神様が宿る場所を用意することで、1年の健康、商売繁盛、家内安全、子孫繁栄といった願いを込めることができるのです。
さらに鏡餅は古神道の文化とも深い関わりがあり、円形の餅は古代の銅鏡の形を象徴すると言われています。鏡は魂を映す神聖な道具であり、鏡餅には「家の中心に神様の魂を迎え、新しい年の力を授けてもらう」という意味も込められています。
二段の鏡餅に込められた象徴
一般的な鏡餅は大小二つの丸餅を重ねますが、これにも重要な意味があります。
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太陽と月を重ね合わせる=自然の調和を願う
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今年と来年=時間のバトンタッチ
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円満(丸い形)と繁栄(重ねる)を掛け合わせる
古来より「丸」は縁起の良い形として扱われ、家族の調和や物事が円満に回るようにという意味も同時に含まれています。
橙の意味は「代々続きますように」
鏡餅の上に乗っている橙(だいだい)は、縁起の良い果物として知られます。橙は成熟しても木から落ちにくく、数年ぶら下がり続けることから、「代々家が続く」「家運が長く続く」といった願いが込められています。
四方紅(しほうべに)で災いを払い除ける
鏡餅の下に敷く赤枠の紙「四方紅」は、東西南北の四方を紅色で囲むことで、外から入る邪気を寄せつけないようにする護符の役割があります。紅白は祝いの色でもあり、鏡餅の世界観をさらに神聖なものにしてくれます。
このように鏡餅は、各パーツに深い意味が宿る“大変縁起の良い招福アイテム”なのです。
鏡餅はいつからいつまで飾る?
| 日付 | 縁起・意味 | 判定 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 12月26日 | クリスマス明けで準備を始めやすい | ◎ 良い | 忙しい家庭でも整えやすい日 |
| 12月27日 | 年末準備が本格化するタイミング | ◎ 良い | 心の切り替えにも向いている |
| 12月28日 | 「末広がりの8」で最も縁起が良い日 | ⭐ 最良 | 正月飾りを置く日に最も推奨される |
| 12月29日 | 「二重苦(にじゅうく)」の語呂 | × 良くない | 縁起を気にする家庭では避ける |
| 12月30日 | 一夜飾りではなく問題なし | ○ 可 | 28日に間に合わなくても安心 |
| 12月31日 | 一夜飾りになり神様への礼を欠く | × 避ける | 昔から“準備不足”とされ不向き |
特に現代では共働きやマンション暮らしなど生活スタイルが多様化しているため、上記の日に飾る家庭も増えています。
片付ける日は“鏡開き”
地域によって差がありますが、
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関東:1月11日
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関西:1月15日
が一般的です。
鏡開きまで鏡餅を下ろしてはいけません。それまでは歳神様が鏡餅に宿っていると考えられるため、むやみに移動したり片付けたりするのは避けましょう。
鏡餅を飾るのに最適な場所
鏡餅は“神様が来るための場所”として整える必要があります。
以下に、縁起が良いとされる飾り場所を詳しく解説します。
| 飾る場所 | 良い理由・意味 | 注意点・補足 |
|---|---|---|
| 床の間(最良) | ・家の中で最も格式が高い神聖な場所・掛け軸や生け花と同じく“特別な空間”・歳神様を最も丁寧に迎えられる | ・床の間がない家は無理に選ばなくてOK |
| 玄関(運の入口) | ・気の入口であり、福を呼び込む場所・邪気を払う、運を迎えるとされる・マンションで特に人気 | ・直射日光・湿気は避ける・スペースが狭い場合は小さめの鏡餅がおすすめ |
| リビング(家の中心) | ・家族が集まる空間=現代版の“家の中心”・家族全体の運気を整えやすい・生活動線に馴染みやすい | ・テレビの“上”はNG(熱・振動)・棚やサイドボードの横に置くのが最適 |
| キッチンの出窓・棚 | ・火の神様(荒神様)に供える地域伝統がある・家事の中心で縁起が良いとされる | ・電子レンジの上は絶対NG・コンロや熱源の近くも避ける |
| 飾ってはいけない場所 | ・トイレ=不浄の場・風呂場=湿気が多い・ゴチャゴチャした場所=神聖さが損なわれる・直射日光=変色・劣化の原因・不潔な台の上=歳神様を迎えられない・電子レンジの上=破裂・劣化リスク | ・鏡餅は“清らかな場所”が基本・危険(熱・湿気)と不浄を避けることが大事 |
理由は「不浄」「熱で劣化」「縁起が悪い」「神様が宿れない」などです。
鏡餅を正しく飾る手順とパーツの意味
鏡餅は自由に飾ってよいものですが、基本的な作法を知っておくと“整った美しい飾り方”ができます。
鏡餅セットに含まれやすいパーツ
| パーツ名 | 役割・意味 | 補足情報 |
|---|---|---|
| 四方紅(しほうべに) | 四方=東西南北を紅で囲んで“邪気を払う”役目。家を守る護符のような存在。 | 赤は古来から「魔除けの色」。白い紙より縁起が強いとされる。敷く向きは赤枠を外側へ。 |
| 三方(さんぽう|台) | 神様に供物を捧げる正式な台。鏡餅を“神聖な状態でお供えする”ために使う。 | 正面は“穴のある側”。木製タイプ・紙製タイプ・プラ製など種類が豊富。 |
| 紙垂(しで) | 神道における“神様が宿る清浄の証”。場を浄化し、悪いものを寄せつけない。 | 神社のしめ縄にも使われる形。鏡餅全体を神聖な存在として扱う意味が強い。 |
| ゆずり葉 | “親の葉が落ちるまで新芽が離れない”特徴から、家の継続・子孫繁栄を象徴する。 | 正月飾りに欠かせない縁起物。縁起を重んじる家庭では必ず添えられる。 |
| 橙(だいだい) | 「代々(だいだい)続く」に通じる縁起物。家系・商売・幸運が長く続く象徴。 | 本物がなければみかんでも代用可。ただし“ヘタがしっかりしている丸い実”が理想。 |
| 大小の丸餅(二段の餅) | 丸い形=円満。重ねることで「福が重なる」「調和と繁栄」が訪れる意味。 | 大きい餅が下、小さい餅が上。形は“古代の鏡”が由来という説もある。 |
| 扇飾り(警蹕) | 扇の形=末広がりで縁起が良い。福が広がる象徴。神様を迎えるための飾り。 | 色や柄は地域で異なる。現代では華やかな金扇タイプが主流。 |
これらを意味を知って置くと、より神聖さが感じられます。
鏡餅の正しい飾り方
| 手順 | 内容 | 意味・役割 | 補足情報(追加) |
|---|---|---|---|
| ① 四方紅を敷く | 赤い枠を外側に向けて敷く | 四方を守り、邪気を払う護符の役目 | 白い紙よりも強い魔除け効果があるとされる。敷き紙がシワにならないよう整えると見栄えも良くなる。 |
| ② 三方(台)を置く | 穴の面が手前・平らな面が奥になるよう配置 | 神様が降りる場所を整える伝統作法 | 「穴を手前」が正式。プラ製・紙製の三方でも意味は同じ。高さは目線よりやや低めが上品。 |
| ③ 紙垂(しで)を差す | 三方の穴に紙垂を挿して飾る | 神聖さを表し、場を浄化する役割 | 向きに厳密な決まりはないが、左右対称に挿すと美しく見える。 |
| ④ 大小の餅を重ねる | 大きい餅を下、小さい餅を上に乗せる | 「円満」「調和」「福が重なる」象徴 | 餅は古代の鏡(神具)がルーツ。重ねる順番は必ず大→小。パックタイプ鏡餅でも同じ意味を持つ。 |
| ⑤ ゆずり葉を餅の下に入れる | 餅の下にそっと差し込む | 家系継続・子孫繁栄を象徴 | 生葉が理想だが、造花でもOK。年末に葉が落ちない=家が続くという願掛け。 |
| ⑥ 橙を飾る | 餅の頂点に橙を乗せる | 「代々繁栄する家になる」願い | 本物の橙が理想。なければみかん代用可。落ちないようやや凹んだ部分に置く。 |
| ⑦ 扇飾りをつける | 正面に扇を添えて飾る | 扇の形=末広がりで運気上昇 | 金扇が最も縁起良いとされる。飾り付けの位置は正面中央が基本。 |
向きについて
特別な決まりはありませんが、
正面(扇や橙が見える側)を部屋の中心へ向ける のが一般的。
マンションや一人暮らしの場合の鏡餅
現代では床の間がない家が多数派です。
しかし、鏡餅の本質は「思いを込めて清らかな場所に飾ること」。
そのため、マンションでもまったく問題ありません。
おすすめの置き場所
| 置き場所 | 良い理由(メリット) | 注意点・補足(追加) |
|---|---|---|
| 玄関カウンター | ・歳神様が入る“運の入口”で縁起が良い・来客時も正月感が伝わりやすい・小さめ鏡餅でも十分存在感が出る | ・靴や鍵で散らかりがちなので、鏡餅の周囲を少し片付けると吉・日光が強い場合は、日差し直撃を避ける |
| リビングの棚 | ・現代で最も“家の中心”の役割を持つ・家族や自分の目に入りやすく、お正月気分を感じやすい・インテリアとの相性が良い | ・テレビの“上”はNG(熱+振動)・リモコン置き場など生活感が強い位置は避けると神聖感が出る |
| スチールラックの目線の高さ | ・スペースが限られる部屋でも飾りやすい・高さ的に鏡餅がよく映える・シンプルな棚でも小さな正月空間が作れる | ・上段は落下リスクがあるため、中段の“目線と同じ高さ”が最適・物が多い棚は、鏡餅の周囲だけ少し余白を作ると見栄えUP |
| キッチンのカウンター(熱源近くを避ければOK) | ・料理好きの人なら一番目にする回数が多い場所・荒神様(火の神様)へ供える地域伝統にも合う・コンパクトサイズが置きやすい | ・電子レンジの上・コンロ横・オーブン上はNG(熱・蒸気で変形・カビ)・シンク横など水ハネのある位置も避けると安心 |
| ワークデスクの端 | ・一人暮らしの“実質的な中心”になることが多い・朝晩必ず目に入り、心が整いやすい・小さめ鏡餅でデスクが華やぐ | ・PCの排熱付近は避ける・作業スペースを圧迫しないよう“端”に小さく置くのがコツ |
特に玄関またはリビングのどちらか一方に置けば充分。
小さめの鏡餅でも縁起は変わらない
近年はインテリア風の木製鏡餅、ガラス鏡餅、陶器鏡餅も人気です。
サイズよりも「整えて置く」ことの方が大切。
パックタイプ鏡餅の注意点と上手な扱い方
スーパーで販売されているプラ容器入り鏡餅は、現代生活に合わせた便利なアイテムです。
パック鏡餅のメリット
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カビない
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長期保存OK
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鏡開き後に食べやすい(切り餅入り)
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子どもが触っても安全
ただし注意点もあります。
注意点
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直射日光・暖房の風は避ける
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電子レンジ上はNG
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シール部分が劣化しやすいので強く触らない
鏡開きの方法と食べ方
鏡開きは単なる“餅を食べる日”ではありません。
歳神様の力をいただき、1年の活力を授かる大切な行事です。
鏡開きで絶対に包丁を使わない理由
武家社会の名残で、刃物を使うことが
「切腹」=縁起が悪い
とされたからです。
そのため、
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木槌
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手で割る
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小さな金槌
などで割ります。
割れない場合はどうする?
現代の住宅は乾燥していることが多く、鏡餅が非常に固くなることがあります。
その際は、
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数時間水につける
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ほんのり電子レンジで温める
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フライパンで軽く焼いて柔らかくする
などの方法が一般的です。
鏡開き後の鏡餅|おすすめの食べ方まとめ表
| 食べ方 | 特徴・味わい | 補足(おすすめポイント) |
|---|---|---|
| お汁粉 | 甘い汁に溶けた餅の香りが広がり、優しい風味。餅がやわらかくて食べやすい。 | ・冷えた体が一気に温まる冬の定番・餅が多少割れたり欠けていても問題なく使える・砂糖の量で甘さを調整できる |
| ぜんざい | 粒あんの食感が楽しい、食べ応えのある甘味。西日本で親しまれる伝統的な食べ方。 | ・餅が硬めでもOK(煮ているうちに柔らかくなる)・塩昆布を添えると味が締まって大人向けに・甘さ控えめの粒あんを使うと軽い仕上がり |
| お雑煮 | 地方ごとに味付け・具材が異なり、家庭の味が強く出る料理。餅を主役にしやすい。 | ・すまし汁・白味噌・醤油・鶏出汁など地域性が楽しめる・鏡開き後の餅でも美味しく復活する・野菜を多めに入れると食事として満足度UP |
| 揚げ餅 | サクッと香ばしく、軽い食感。塩・しょうゆ・青のりなど味付けの自由度が高い。 | ・割れた鏡餅でも揚げると美味しい・油は少量でOK(フライパンで揚げ焼きも可)・保存も効く“おかき風”にアレンジできる |
| きなこ餅 | 甘くて香ばしい、子どもにも大人気の優しい味。簡単に作れて失敗がない。 | ・きなこ+砂糖+塩ひとつまみで風味が増す・小さく割れた餅でも美味しく食べられる・電子レンジ調理でもOKで手軽 |
鏡餅は歳神様のお下がりなので、最後まで感謝していただくことが大切です。
鏡開き後の餅を“美味しく復活”させるコツ
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硬くなった餅は水に30分〜数時間つけると柔らかく戻りやすい
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レンジ600Wで10〜20秒ずつ様子を見て温めると扱いやすい
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ひび割れや欠けはむしろ味の染み込みが良くなって美味しい
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揚げ餅にすると、どんな状態の鏡餅でも失敗しない
鏡餅でやってはいけないNG行為
鏡餅のNGポイントを深堀りして解説します。
| NG項目 | 理由・起こりやすい問題 | 改善ポイント |
|---|---|---|
| NG①:汚れた場所に置く | ・歳神様は“清らかな場所”を好むとされる・ホコリ・生活感が強い場所は縁起が下がる | ・飾る前に軽く掃除をする・小さな布や敷紙を敷くだけでも清浄感アップ |
| NG②:電子レンジの上 | ・パック鏡餅は内部が膨張し破裂の危険・本物の餅も熱で劣化してカビの元に | ・レンジ上ではなく、棚の横・カウンター上へ・熱源の真上は避ける |
| NG③:直射日光の当たる窓際 | ・シール部分の劣化・変色・乾燥・カビの原因に | ・レースカーテンのある位置に移動・日陰の棚や玄関へ置く |
| NG④:飾る期間が極端に短い(一夜飾り) | ・神様への準備不足とされ、礼儀に欠ける・縁起が良くないとされる伝統がある | ・12/26〜28に飾るのが理想・30日でも可。31日だけは避ける |
| NG⑤:鏡開きで包丁を使う | ・武家文化で“刃物=切腹”を連想し縁起が悪い・伝統作法に反する | ・手で割る・木槌で砕く・水でふやかして割るなど代替方法を使う |
よくある質問
Q:鏡餅は一家に何個必要?
A:基本は“家の中心に1つ”。
玄関にも飾りたい場合は2つでもOK。
Q:インテリア鏡餅でも本物と同じ扱いでいい?
A:問題なし。
心を込めて飾れば意味は同じ。
Q:橙が手に入らない場合は?
A:スーパーで売られている“みかん”でも可。
ただし形が丸く、ヘタがしっかりしているものを推奨。
Q:鏡開きを忘れたら?
A:思い出した段階で開けばOK。
ただし 2月になる前 を目安に片づけると良い。
鏡餅を正しく飾ることで得られる効果
鏡餅は日本の文化の象徴であり、
“ただ飾るだけ”という行為の裏に、深い精神性があります。
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家が整う
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清潔空間を意識する
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新年の気持ちが切り替わる
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家族が団結する
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毎年の行事として生活が豊かになる
特に鏡餅を玄関に置く家庭では、
「運気が入りやすくなる」「空気が清々しくなる」とよく言われます。
鏡餅の飾り方を整えるという行為は、
実は“新たな年を迎えるための心の準備”でもあるのです。
【2025年版】鏡餅の飾り方とNG行動一覧|玄関・リビング・キッチンのどこに置くべき?まとめ
鏡餅は小さな飾りですが、
家に歳神様を迎え入れるための、最も重要な正月準備。
飾る日・置き場所・飾り方にはしっかり意味があり、
これらを整えておくことで、
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1年の健康
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家族の繁栄
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仕事運・金運
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良縁
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家内安全
など、運気が満ちるとされています。
特に 玄関・リビングにきれいに飾るだけで“運の通り道”が整う と言われるため、
マンション・一人暮らしでも安心して取り入れてください。
また鏡開きで鏡餅を食べることには、
“歳神様の力をいただき、新しい年を元気に生きる” という意味があります。
ぜひ家族や自分のために丁寧に扱ってみてください。
鏡餅の正しい飾り方を知ることで、
新年のスタートはぐっと良いものになります。